美しい姿勢のためには「骨盤」が大切な役割を果たしているということは、ご存じの方が多いと思います。では、どのような状態が「理想的な姿勢」で、そのときの骨盤はどんな役割をしているのでしょうか。
理想的な姿勢とは、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨までが、ゆるやかなカーブを描いている状態です。 頭のてっぺんから身体の軸が真っすぐ1本の線として突き抜けるようなイメージで、 壁に背中をつけて立ったとき、無理に力を入れていなくても、後頭部、肩甲骨、お尻の3点が壁についているのが理想的な立ち姿勢です。このS字カーブがくずれてしまうと、見た目の印象の悪くなるだけではなく、脊椎やそのまわりの筋肉にも負担がかかり、肩コリ、腰痛、ストレートネック、頭痛など様々な不調をもたらす場合があります。
骨盤は、人間の身体の土台にあたる部分です。骨盤はS字カーブを支え、姿勢や全身骨格の基礎となります。骨盤の左右の高さや傾斜に差があると、歩行時の足の上げ方、肩の高さ、腰の高さ、脚の長さが左右で異なってしまいます。また、骨盤が前に傾く(骨盤前傾)と、「反り腰」の状態になり、下腹がぽっこり出たり、腰に負担が掛かって腰痛になったりすることもあります。
また、骨盤には姿勢を支える他にも、重要な役割があります。それは「内臓を守る」こと。骨盤の内側には大腸や子宮などの内臓があります。骨盤の左右のバランスが悪かったり、前後に倒れてしまったりすると、内臓に圧力がかかり、血流が悪くなることで内臓機能が低下することもあります。また、猫背などの悪い姿勢は胸部を圧迫するため、呼吸が浅くなり、血中の酸素濃度を低下されるなど、様々な悪影響に繋がってしまいます。
実は、骨盤がまったく歪んでいない、という人はあまりいません。日常生活には、骨盤を歪ませてしまうシーンがたくさんあります。例えば、横座りやぐらで床に座るのは、イスに座るよりも骨盤に負担がかかりやすいと言われています。
また、車を運転する姿勢も、アクセルやブレーキをふみこむために前傾姿勢になりやすく、骨盤の歪みに繋がります。また、寝ている間も姿勢も一度確認してみましょう。高すぎたり、低すぎたりする枕、柔らかすぎて腰の部分が沈み込むマットレスなど、寝具も骨盤の位置に関係があります。
脚を組んだり、長時間同じ姿勢でいたりすることは避けて、合間にストレッチをする、 姿勢をサポートしてくれる座椅子を使用する、などして骨盤が歪みにくい生活習慣を心がけましょう。
《腹筋をしっかり使って、インナーマッスルを強化》
①手の平を下に向けて仰向けで寝る。
②鼻から息を吸いながら、頭とヒザを曲げずに脚をゆっくりと上げる。
③脚が床と垂直になったら、口からゆっくり息を吐きながら頭と脚を下す。
《全身を動かす体操》
①脚をまっすぐ伸ばして座る。
②息を吐きながら、アゴを胸に近づけるように頭を前に倒す。
③息を吸いながら頭を後ろに反らす。
④ブリッジのように腰を持ち上げ、身体が床と平行になったら息を止める。その後ゆっくり息を吐きながら元の位置に戻る。