肩に痛みがある状態として、四十肩、五十肩という言葉が多くの方によく知られていますが、実は一般的に使用されている俗称であって、正式な病名ではありません。
正式名称は肩関節周囲炎と呼ばれる疾患で、肩コリとは異なります。
などの症状に悩まされている人は四十肩・五十肩かもしれません。
四十肩と五十肩に明確な違いはなく、40代から50代に多くみられる肩の痛みを指します。30代や60代以降で起こることも珍しくありません。
四十肩・五十肩は3つのステージ期「急性期(炎症期)」「慢性期(拘縮期)」「回復期」をたどるのが一般的で、原則的には経過とともにいつかは改善する病気です。
①急性期(炎症期)(数週間~数ヶ月程度)
痛みの強い状態を急性期(炎症期)と呼びます。
腕を上げたり肩を回したりといった動作を行うとき・安静時・睡眠時などに、肩周辺に違和感や鋭い痛みが生じます。
急性期(炎症期)は、炎症が強いため肩の関節を動かさなくても痛みを感じることが多くあります。その痛みにより筋肉が固まってしまう拘縮を引き起こし、さらに痛みを増加させる傾向にありますので、痛み自体を緩和させるなど、炎症を抑える治療が有効とされています。
痛みが強いこの急性期(炎症期)には筋肉を無理に動かそうとして、より一層痛みを増強してしまうことがあるので、無理に動かさないよう注意しましょう。
②慢性期(拘縮期)(6ヶ月程度)
痛みは落ち着いていても、思うように動かせない状態を慢性期(拘縮期)と呼びます。
安静時や睡眠時の疼痛は軽減するものの、肩関節が硬くなり、可動域に制限が残りやすくなります。また、過度に肩を動かすと、強いつっぱり感が出ることもあります。
この時期になると、炎症がないので肩を動かした時の痛みは多少和らぎますが、痛みをピークに感じるポイントは何点か存在することが多いです。
しかし筋肉の拘縮をこれ以上悪化させないためにも、肩の痛みが強く出ない範囲で動かしていくことが大切です。日常生活でも、無理な肩関節の動作は避けて、動かせる範囲で動かすことを心掛けましょう。
③回復期
痛みが改善していく状態を回復期と呼びます。
痛みや違和感が徐々に改善し、可動域の制限も回復していきます。
四十肩・五十肩は各ステージの期間が数ヶ月継続し、発症してから治るまでに1年以上かかることもあります。正しく治療をしなかったり、何も処置を施さなかったりした場合は、長くて3年程度かかることもあり、1~3年が四十肩の病期であると考えられています。
四十肩・五十肩の原因は、肩関節を構成する骨や筋肉、腱、靭帯などの性質が加齢によって変化し、周囲の組織に炎症が起きることであると言われています。(原因は完全には明らかにはされていません。)
自分では痛みの原因が分からず湿布などでその場をしのぎ放置してしまう方もいますが、痛みが少し緩和したとしても「もういいかな」と放置することなく、詳しく検査を受けることをおすすめします。
肩コリは、日常生活の良くない姿勢や、筋肉の緊張などによって肩や首の筋肉が疲労し、肩に痛みや張り、だるさが発生している状態のことを指します。それに対して、四十肩・五十肩は肩関節、およびその周辺に「炎症」が起きている状態です。
肩コリが酷くなってくると、肩の痛みや可動域に制限がかかり「もしかして四十肩?」という不安が起きるかもしれません。しかし、安静時に痛みがない事、動かしたときに鋭い痛みが出ないこと、ストレッチなどをすれば多少可動域が広がるという状態であれば四十肩・五十肩ではなく肩コリである可能性が高いです。
しかし肩コリも長期間放置することで四十肩につながる可能性もありますので、早めに正しいケアをしましょう。
肩の石灰化沈着という疾患は、四十肩・五十肩のような痛みを感じますが、我慢ができないほど突然の激痛が走ることが特徴です。
身体は、骨に必要なカルシウム量をキープするために、腸からの吸収と尿での排泄によってバランスをとっています。しかし、尿で排泄しきれなかったカルシウムは、年齢とともに体内、主に血管の内膜や、関節内組織の腱や靭帯にたまってしまうことがあります。
少したまっただけでは特に症状は出ません。しかし身体がたまったカルシウムに対して「異物である」と認識した場合、カルシウムを除去しようとする免疫反応が起こります。その結果、たまったカルシウムを攻撃するために関節で炎症が起き、痛みが発生します。
炎症が落ち着くと、慢性的な痛みを感じる状態に移行することが多く、四十肩・五十肩と勘違いされてしまうことも。これを防ぐためにも、正しい肩の状態を専門家にチェックしてもらいましょう。
四十肩・五十肩のセルフケアは、回復期に行うことがおすすめです。再び炎症期や拘縮期に逆戻りしないように注意して行いましょう。
痛みが徐々に回復していくこの期間には、肩を冷やさないように注意してください。夏の暑い時期でも直接肩にクーラーの風などが当たらないように気を付けましょう。また、お風呂に浸かるなどして肩を温めましょう。温める以外にも、肩に余計な負担をかけずに守ることも大切です。
日常生活において、急に肩へ大きな負担がかかることがあります。例えば電車のつり革を痛めている方の腕でつかむと、急停車した際に肩周囲に大きな負担がかかることもあります。こういったときに再発の原因が生まれかねません。
つり革や高いところのものを持つ際は、痛みを感じない方の腕で持ちましょう。どうしても痛みを感じる腕で持たざるを得ないときは、なるべくヒジをしめ、身体全体を使って衝撃をカバーし肩にかかる負担を軽減できるようにしましょう。
四十肩・五十肩は夜間にずきずきと痛み、眠れなくなることもありますよね。そんな時は、肩の高さを調節してみましょう。
肩に痛みを感じるときは、仰向けで寝るとより痛みを感じやすくなる場合があります。そんなときは、バスタオルを折りたたんで約20cm程度の厚みを出し、肩の後ろからヒジのあたりの下に入れ肩甲骨の支えを作ってあげると、就寝時の痛みを和らげられるときがあります。
接骨院では受けられる四十肩・五十肩の施術方法は複数あります。
急性期(炎症期)や慢性期(拘縮期)の状態で正しく処置を行い、早い段階で回復期に入ることで全体の経過を早めることも可能です。
実際の施術としては、少し大げさに感じられるかもしれませんが、固定具によって関節を固定することで、肩の関節に負担がかかりにくい姿勢を維持します。固定している期間は日常生活に支障をきたしますが、有効的な方法です。
院内での施術の際にはその固定具を外して、炎症や損傷を起こしている部分のケアや、可動域が狭くならないようにするための施術を行います。
ただし、仕事や家事などで固定ができない場合、なるべく負担のかかる行動をとらないような生活指導を受けて、原因となっている部位の回復を促す施術を受けることもできます。
接骨院ではヒアリングを行い、痛みの原因がどこにあるかを特定してから施術を開始します。
各関節の動きに問題があるのであれば、関節の動きの不具合を改善するような施術を行います。軟部組織といわれる筋肉や靱帯などに問題がある場合は、その部位をケアできるような電気刺激や、温熱療法、手技療法、鍼灸施術が可能な院は鍼灸を用いる場合もあります。
注射や薬を使った治療でなかなか満足いく結果が得られなかった方や、最初から病院での治療を望まれない方は、一度接骨院へ相談に行くことも一つの方法です。
ただし、肩や腕を動かすことができないほどの強い痛み、もしくは痛みが長く続く場合は病院での精密検査をおすすめします。痛みを放置せず、専門家に相談することが大切です。
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