人間の身体は、心臓のポンプ機能を使って血液を介して各細胞に酸素や栄養分が届けられます。
また届けると同時に細胞から老廃物や二酸化炭素を回収して、心臓に血液を戻します。
血液は重力に逆らって心臓に戻りますが、戻るためのポンプの役割を果たすのがふくらはぎの筋肉です。
人間の下半身には全体の7割もの血液が集まっていて、ふくらはぎの筋肉が心臓と同様にポンプとして動くことで血液を心臓に戻します。
ポンプ機能を果たすためには、ふくらはぎの筋肉を収縮させる必要がありますが、このふくらはぎの収縮がうまくいかなくなると血液が停滞して足がむくみやすくなるのです。
むくみは生活習慣にも原因があるといっても過言ではありません。スマートフォンやネット環境が普及したこと娯楽の施設が増えたことで、夜更かしから寝不足になってしまう方も多いです。不規則な食生活、外食やインスタント食品中心の食生活による栄養の偏りで、肥満傾向になる、移動手段も多彩になり、運動不足となって、筋肉が衰えることもむくみ体質になる原因になりかねません。
加えてストレスにさらされ、イライラが続く毎日を送っている方も多いのではないでしょうか?このように寝不足、運動不足、栄養の偏り、ストレスはむくみの大きな原因になります。
ずっと同じ姿勢の状態(立ち仕事やデスクワークなど)でいると、ふくらはぎの収縮が少なくなり、ふくらはぎの筋肉のポンプ機能がうまく働かなくなってしまいます。その結果、足の血液が心臓に戻りにくくなり、血液が渋滞してむくみに繋がります。
そもそも運動不足によってふくらはぎの筋力が衰えると、ポンプ機能そのものが低下し、足の血液を心臓へ送り戻す効率や力が弱くなります。過度なダイエットも筋肉を量やパワー弱める一因になります。
特に、女性は男性よりも筋肉量が少ないため、心臓に向かって血液を押し戻す働きが弱く、足がむくみやすい傾向にあります。
また、身体が冷えることで血管が収縮して血行不良となり、足の毛細血管まで血液が循環しなくなります。そのため血液やリンパの流れが滞ってしまい、むくみに繋がります。
女性の方がむくみを訴えることが多いのにはこのような理由などが様々ですが、筋力低下とふくらはぎの筋肉がうまく働かないということが主な理由になっている人が多いかもしれません。
食事や飲酒も影響しやすく、アルコールは体内の水分を奪う脱水作用あるため、飲みすぎると身体の水分が失われ、血液濃度が高くなります。すると、身体は危険を回避するために血管内に水分を取り込み、血液濃度を低くしようとします。この時に取り込んだ水分の一部がむくみの一因になります。そしてたんぱく質が不足すると、むくみが出やすくなります。
カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルや、ビタミンB1もむくみには大きく関与しています。
食べ物や飲み物、環境を整えることが大事ですが、血液やリンパの流れと、これを左右するふくらはぎの筋肉のポンプ作用が正しく活躍できる状態であれば、むくみの原因は大幅に減らすことができます。
ふくらはぎのポンプ機能をうまく働かせるために重要な役割を果たしているのが、足の距骨という骨です。あまり聞きなれないかもしれませんが、距骨とはカカトとくるぶしの間にあり、足首を曲げたり足を支えたりするための骨です。普段はあまり意識をすることのない骨ですが、下半身のバランスを整えるためにとても重要で、距骨で下半身のバランスがとれていないと筋肉をうまく使えなくなり、老廃物の流れも悪くなって、むくみに繋がりやすくなると言われています。
むくみというとリンパに目を向けがちですが、骨の距骨が理想の位置にあることも重要です。
距骨に歪みが生じると、足首をきれいに曲げることができなくなります。脚全体に歪みの影響が及ぶことでポンプ機能も低下しがちになります。距骨が理想の位置にあれば逆にそれらの状態を改善することも期待できます。筋肉と直接繋がっていない骨だからこそ、日頃の身体のバランスや使い方で大きく影響されてしまう骨なのです。
昔足首をケガした、脚を骨折してしばらくバランスが悪い状態が続いてしまったなどの経験をお持ちの方や、むくみがひどくて悩んでいるという方は、一度距骨の位置をみてもらってみてはいかでしょうか。距骨が理想の位置になることで、今の悩みが解決する可能性もあります。
セルフマッサージや温めてあげることも忘れてはいけませんが、自身だけではカバーしきれない状態もあることも知っておきましょう。
むくみは病気が原因の場合もありますので、あまりにもむくみがひどい場合は医療機関へ受診をして検査をしてもらうことをおすすめします。
①カカトをくっつけて立つ。
②軽くヒザを曲げる。
③ヒザをもとに戻し、つま先立ちをする。