睡眠は健康を維持するうえで欠かせない要素のひとつです。しかし、ストレスや生活習慣の変化、環境の影響によって、思うように眠れないと感じることはありませんか?
質の良い睡眠をとることは、体調管理や日中のパフォーマンス向上にもつながります。
そこで今回は、理想の睡眠時間や睡眠の質を高めるためのポイント、「夜中に何度も目が覚める」「朝起きた時になんだかスッキリしない」などといったよくあるお悩みの解決方法についてご紹介します。
理想の睡眠時間は一般的に7時間と言われていますが、これは成長ホルモンの分泌と深い関係があります。
成長ホルモンは、脳下垂体から分泌される重要なホルモンで、子供の成長を促すだけでなく、大人にとっても疲労回復やストレス軽減、老化の抑制に役立ちます。特に、眠り始めの3~4時間、ノンレム睡眠(深い睡眠)の時間帯に最も多く分泌され、全身に行き渡りながら約6時間かけて働くことが分かっています。
また、成長ホルモンの分泌が活発になるのは午後10時から午前2時の間。この時間帯に質の良い睡眠をとることが、肌のターンオーバーを整えたり、筋肉の修復を助けたりするため、美容や健康の観点からも重要です。
さらに、アメリカで100万人以上を対象に行われた調査では、1日の睡眠時間が6.5~7.5時間の人が最も死亡率が低く、それより短くても長くても寿命が短くなる傾向があることが分かっています。
適切な睡眠時間を確保することは、健康や美容だけでなく、寿命にも影響を与える重要な要素なのです。
睡眠の質には、「睡眠ホルモン」と呼ばれる「メラトニン」の働きが大きく関わっています。
メラトニンは、脳の松果体という部分から分泌され、睡眠と覚醒のリズムを調整する役割があります。朝、太陽の光が目に入ることでメラトニンの分泌量が減り、身体の覚醒を促します。そして、約15時間後に再び分泌が高まり、自然な眠気が訪れます。
しかし、不規則な生活や日光を浴びる機会が少ないと、メラトニンの分泌がうまくいかず、眠りのリズムが乱れ、睡眠障害を引き起こす可能性があります。また、メラトニンはホルモンバランスを調整する視床下部にも影響を与えるため、睡眠の質が低下すると、ホルモンのバランスも乱れてしまいます。そのため、睡眠の乱れは女性の月経不順を引き起こす原因のひとつとも言われています。
「十分な睡眠を取りたい」と思ってベッドに入っても、なかなか眠れないという悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
これには、自律神経が関与しています。
私たちの体には、交感神経と副交感神経という2つの神経系があり、交感神経は日中の活動時に優位になり、体を活発に保ちます。一方、副交感神経はリラックスしているときや夜間に優位になり、体を休める役割を果たします。
しかし、仕事や人間関係などでストレスが生じたり、パソコンやスマートフォンの使用による目や脳への刺激が起こると交感神経が優位になりやすく、睡眠が妨げられることがあります。
また、人によって交感神経が優位になりやすいタイプと副交感神経が優位になりやすいタイプが存在します。女性は月経周期や妊娠、更年期などによるホルモンの変動が激しいため、自律神経に影響を受けやすい傾向があります。睡眠時に副交感神経が優位な状態を上手く作れるように工夫をしましょう。
睡眠の質を高めるための方法をご紹介します。
スマートフォンのブルーライトは目に刺激を与えるだけでなく、読んでいる内容や視聴している映像も脳を刺激し、眠気を妨げる原因となります。睡眠の質を上げるためには、就寝前1時間はスマートフォンを使わないようにしましょう。
日中に運動をしないと、交感神経の活性化が不足し、夜間に交感神経が過剰に働きやすくなります。これが睡眠に悪影響を及ぼすことがあります。睡眠の質を高めるためには、日中に2~3時間のウォーキングや1時間のジョギングを取り入れるのが理想的です。
運動が難しい方でも、寝る前にぬるめのお湯(38~41度)で入浴をしてリラックスしたり、軽いストレッチを行うことが効果的です。就寝前に手足の末端まで血液が行き届くと、体温が放散され、深部体温が低下し始めることで入眠しやすい状態となります。
運動やリラックスをしても、顔や頭の骨の位置が正しくない場合、脳へのストレスが増し、眠りにくくなる可能性があります。さらに、交感神経が優位になり続けると、頭周囲の筋肉が緊張し、睡眠の質に影響を与えることがあります。このような場合、頭周囲の筋肉をほぐすことで骨の位置が微調整され、副交感神経を優位に導くことができます。
《上半身ひねりストレッチ》
①右脚を前にして、脚を前後に開き頭の後ろで両手を組む。
②右ヒジを下げ、左ヒジを上にあげ、身体ごと限界までひねる。限界まで来たらゆっくり3回、深呼吸する。 左右行う。
《バックキックストレッチ》
①うつ伏せに寝て両腕を真横に広げ、右脚のヒザを曲げて上に上げる。
②骨盤ごとひねって上げた脚を反対側に倒していく。脚が床に着くくらいまで倒したら、ゆっくり3回深呼吸する。左右行う。
睡眠の質を高めるためにはセルフケアや日々の習慣が大切ですが、専門家の施術を受けることで、さらに快適な眠りにつながります。近くの接骨院で、プロのアドバイスを受けてみませんか。